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トラックドライバー 体験談

二度下ろした荷物

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大きくて軽い

僕はトラックドライバーの仕事をしています。まだ30代で、ドライバー歴も3年くらいなので、会社では若手です。
ですから、先輩ドライバーの仕事を手伝うこともあります。
手伝いで多いのは、荷の積み下ろしです。僕の職場はいわゆる物流センターなので、ここで荷を積んだり下ろしたりすることが結構あるんです。先輩の中には60代の人もいるので、手作業による積み下ろしは僕ら若手が積極的に手伝います。
その朝も、ベテランのドライバーがトラックから荷を下ろそうとしていたので、手伝いを買って出ました。トラックは中型で、荷は大きい割りにあまり重くないものだったので、早く下ろし終わりました。それは繊維メーカー、M社の商品でした。
さて、それから僕自身の配送の仕事に取り掛かり、昼ごろ、自社に戻ってきました。ここでまた荷を下ろし、さらに荷を受け取りにトラックを発進させます。
すると、社の入り口から1台の中型トラックが入ってきました。ついさっき見た光景を再び見たようなデジャヴに襲われました。

ヤレヤレ

見ると、運転席には朝、荷下ろしを手伝った、先輩のベテランドライバーがいました。
「ヤレヤレ、また手伝ってあげたほうが良いのかな」と思って近づくと、先輩は人懐こい笑顔で「やあ」と呼び掛けてきました。「あれ、この笑顔もさっき見たような」と思ったものの、そのままトラックの後ろに回り、荷下ろしを手伝うことにしました。
先輩が荷台の扉を開けると、これまた朝と同じ段ボール同じように並んでいました。確かにM社のロゴも入っていて、数も同じです。
僕は念のため、「朝も同じ荷物を運んで来ましたよね」と言うと、先輩は驚いたような顔になり「俺は今日は昼出社で、朝は家で寝てた」と言うのです。
荷物を持ってみると、やはり大きい割りに軽く、確かにこれは朝も運んだものだと感じました。
毎日のルーティンワークで、脳が妄想を作ったのでしょうか。何だかキツネにつままれたような気がしました。

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