ドライバーのための転職情報コラム

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トラックドライバー 体験談

トラック運転手の思い出

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2つで十分ですよ

俺はトラック運転手。年齢は30代で、この仕事では中堅と言っていい。
今勤めている会社で4つ目だ。トラック運転手の仕事で良いところは、転職が比較的容易だということ。就職した会社が自分に合わなければ、さっさと転職すればいい。無事故無違反なら、どこの会社でも重宝されがちだ。
ただ、女房は俺の転職を俺の癖だと勘違いしているみたいで「転職なんて2回で十分」と悪態をつく。
そんな彼女はオーガニックコスメのメーカーで働いている。オーガニックコスメは鮮度が大事で「まるで寿司みたい」だという。冷たい魚だと。
俺が最初の会社を辞めたのは、給料が安かったからだ。その割に労働時間が長く、しかも同僚は荒くれ男たちで、今考えるとブラック企業だったかもしれない。
次に勤めた会社は、給料は悪くなかったが、やはり勤務形態に問題ありだった。ここは体を壊しそうになって辞めた。

足をバタつかせるカメ

次の会社は給料そこそこ、労働環境そこそこだった。社長、同僚ともウマが合い、このままここで働き続ける気持ちでいた。だが、社長が高齢で、後継者がおらず、社長の引退で会社を閉めることになり、転職先を探さざるを得なくなった。
とはいえ、社長は俺たちに転職先を紹介してくれたりもしたので、本当にホワイトな会社だった。恐らくあの社長なら、砂漠でひっくり返ったカメを見つけたら、ちゃんと助けるだろう。
俺は新聞の求人欄を見て転職先を探したりしたが、なかなか見つからなかった。結局、今の会社はネットのドライバー専門の求人サイトで見つけた。
今の会社に入社して2年経つ。給料は前の会社より良くなり、仕事は少しキツくなったかもしれない。俺ももうすぐ40歳になろうとしていて、単に若くなくなった、ということかもしれないが。

絶世の美女

「劣化するオッサン」が社会問題になっているという。
古い価値観、おのれの過去の成功体験に固執し、謙虚さがなくなったオッサンのことらしい。俺もそろそろオッサンだが、我が身を顧みると、確かに価値観は古臭いかもしれないし、その価値観を若造に否定されればイラっとくる。
ただ、今まで「成功体験」なるものの実感がない。だから、若者に自慢話をするということもないような気がする。
確かに年齢を重ねると、それにつれていろいろなことを経験する。
夜中の峠道で絶世の美女を見つけ、トラックに乗せてやったこと。仮眠のつもりが寝過ごして時間に遅れそうになったこと。災害時に物資を運んで感謝されたこともあった。
それにいろいろなことを目撃してきた。寂れた駅のバス停にたたずむ絶世の美女。道路を逆走する危ないクルマ。オリオン座の近くで燃える宇宙船。タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ。だが、そんな思い出もやがて消えていく。雨の中の、涙のように。
それでも俺はトラック運転手としてまだまだ働き続ける。いつまで続くのかは、神のみぞ知る、だ。

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